ジャンゴ。
 
 
 
■ 二十の頃、乏しい財布の中からジャンゴのレコードを買った。
 ジャンゴ・ラインハルトというジプシーのギター引きで、ステファン・グラペリというバイオリニストとコンビを組んでいた。
「マイナー・スィング」
「ジャンゴロジー」
 雨の夜の東名を、懐かしい女に会うために車を飛ばしているような按配の音だった。
 車は丸目のライトである。
 シビエかな。
 
 
 
■ 覚えている。
 ヘルメットを抱え、革ジャン姿の私に、レコード屋の女性が、
「ジャンゴが好きなんですか」
 と聞いた。
 二十の私には、すこし年上の化粧がまぶしかった。